Saturday, May 30, 2009

クロストーク 国公立大の授業料を引き下げよう

現在米国の獣医系大学院に行っているものです。

米国では、大学生のほとんどが教育ローンで大学へ行っています。これは、医学、獣医学などの学費が高いとされる大学では顕著で、卒業すればある一定、もしくはそれ以上の収入が見込めるため、民間銀行からの教育ローンが活発です。ローン未返還者が他のローンと比べ少ないため、政府も活発に助成しています。一方日本では、教育ローンを組むのにも親の印鑑、保証人等々、とても学生本人ではできない手続きが必要となります。

勝間さんの「日本で高等教育の家計負担が大きいのは、大学の授業料が上がり続けているから」とありますが、理由はそれだけでしょうか?まず、大学の授業料を、親が払うものという大前提があるゆえに、親の家計事情と教育が密接に関係してしまうのではないでしょうか。

大卒で利益を実質的に蒙るのは、ほかでもなく大学へ行く学生です。まして義務教育でもないのだから、親が払うということ事態に疑問を感じなければならないのかもしれません。私も当たり前のように両親に大学での費用を払ってもらいましたが、米国の学生の金銭感覚の優れていることに感心させられます。多くの学生が、自分の消費するものにとても現実的です。また将来の職業にも、自分でローンを返済しなければならないため積極的です。

なので、授業料を下げるよりも前に、社会的にできることは、この悪循環を教育ローンを国、民間銀行をあげて活発化させることです。この対策の利点として1)卒業の意思がある生徒が大学入学を希望し、高い確率で就職していく。2)親御さんの生活(老後)の安定、3)学費を堂々と取れるため、教授陣の給料、研究費が行き渡る、4)政府がサポートするべきものが、学費負担でなく日本の機動力への投資となる、が挙げられます。

学費というものは、大学運営に欠かせないものです。それを下げるということは、誰かがそれを負担しなければならないというものです。医者の給料は高いのに、医療サービスが安いのも、誰かが(国)が負担しているからです。しかしこのシステムも医療サービス受給者の割合の増加で崩壊の危機にあります。今から少子化対策で子供の数を増やすとき、教育費を下げると、子供の人数が増えた場合、勝間さんが提案される国が学費を負担するシステムは崩壊するのではないでしょうか?