Thursday, January 15, 2009

本庄国際奨学財団への申請書

i) 研究内容
サル免疫不全ウイルスおよび猫免疫不全ウイルス感染症に対するワクチンの開発と効能の研究。具体的には様々なリコンビナントワクチンおよび弱毒生ワクチンの比較実験、抗原提示能の促進機序および投与経路の違いによる効能の比較研究等を行う。また、前記研究の支持研究としてウイルスの感染機序および宿主の感染免疫機序や先天性免疫の研究も同時に行う。

ii) 博士課程卒業までの計画
修士課程
2008年8月より在籍しているカリフォルニア州立大学獣医疫学修士プログラム(MPVM)ではイルマ・テラフン先生らが既に完了した熱帯感染症分子生物学研究所における研究結果の統計学的解析を主に行う。現在は博士課程でも重要となる生物統計学、実験の計画法を修得し、どの手法を自分のデータに用いるかを検討中である。2009年3~4月には実験データの解析を行い、修士論文の「結果」の部分を完了させる。5~6月に原稿を書き終え、7月中に審査委員とともに自らの論文を検討・校正する。8月に完成したMPVMプロジェクトを提出する。

博士課程
1年目は大きく分けて3つの必要事項の達成に努める。まずは博士号取得に必須科目の単位取得である。これらは2008年度に入学したMPVMの授業と同様であるが、専門が免疫学、ウイルス学、微生物学、病理学、比較実験動物学に移行したものとなる。MPVMの授業は様々な博士課程の学生も授業を受講していることから、その中でも優秀な成績を修めることができたことは博士課程でも充分に学業貢献できるという自信に繋がった。次に、4つの研究室の実習ローテーション中は、日本大学の門井克幸教授の下で3年間学んだ研究知識を最大限に活用し、研究内容と自らの学術的興味の合う研究室を見極め、自らが属する研究室を決定することである。さらにこの後、初期段階の学位研究に取り掛かる。この際、MPVMで学んだ実験計画の方法、実験記録のつけ方や用いる統計法といった実験の前段階に可能な具体的な計画を立てる。
2年目も3つの必要事項の達成に努める。まずは選択科目の単位を取得し、各種セミナーに参加する。これらの授業では研究を進めるための学術的交流の能力を評価される。MPVMで経験した多くの討論型授業やプレゼンテーションで習得した研究に不可欠な実践的、学術的交流能力と自信を惜しみなく発揮する。次に、この年で最も重要となる博士号の資格審査に合格することである。この審査に合格することで正式に博士号の候補として認められることとなる。その後、博士論文実験の開始に取り掛かる。関連論文を読み上げつつ、実験室の技術者とどのような実験が可能であるか検討する。
3年目もまずは、2年目同様選択科目の単位取得と参加型のセミナーに努め、さらに専門性の高いセミナーへ自主的に参加することから、効果的な専門教育の方法や最新の研究方法を習得する。次に、学位研究の実験をさらに進めていく。次に、論文審査委員との会議を始める。この会議は自分の研究が先入観によって偏っていないか、的確な手法を用いているかどうか教授陣、専門家に指摘してもらうもので、自らの研究に的確な客観性を持たせるために欠かせないものとなるため、できるだけ緻密に行う。
4年目は学位研究の完了に向けて最大限実験に集中する。ワクチン効用比較のために攻撃ウイルス抗原やワクチンに対する抗体を定量するエライザ試験、細胞性免疫を測定するための細胞増殖性試験、CD8陽性T細胞の活性を測定するELISPOT試験、血中のCD4陽性T細胞の定量実験等を行う。審査委員との打ち合わせを定期的に行い、実験方法の正当性を確認する。この年の最終目標は論文を書き上げ、投稿することである。その為にはまず学位研究を完了し、実験データの解析、参考文献などをまとめ、卒業セミナーにて学位論文を発表する。

iii) 将来の計画・目標
日本の獣医学は技術面では欧米に怠らないものの、教育面、研究面では大きく遅れをとっている。特に米国の獣医学は、多民族国家を背景とし、理論的そして系統的な姿勢が世界に誇る確固とした獣医学教育、研究の提供を可能にしている。
修士、博士課程を米国で修得することで、その長所を最大限自分のものとして吸収したい。
将来は日本に戻り、上記に述べた日本の獣医学の弱点を補う力になることを強く希望する。具体的には獣医大学で感染症、微生物学、内科学の分野で客員教授として教鞭に立つ。可能な限り短期で一般層まで自分が学んだものを還元するために、地域医療に貢献することを強く希望し、臨床研究のできる獣医師教育を目標とした第一次診療を中心とした内科、感染症専門の動物病院を設立したい。目の前の研究、診療に力を注ぐ一方、常に最新の科学に敏感であり、論文を投稿できるような学術的興味を持ち続け、本庄国際奨学財団の名に恥じぬよう、知識人であることに努めたい。

3 Comments:

Blogger shun said...

初めてコメントを書かせていただきます。
私は本庄国際奨学財団の2010年度日本人大学院奨学生への応募を検討しているShunと申します。
本庄国際財団の採用者の方がどのような申請書を書いているかを検索していたらたどりつきました。
本庄国際奨学財団の申請書は書式の制限がないので何をどれだけ書けばいいか正直、困っています。
そこでできればYokoさんに本庄国際財団に通るための申請者作成のポイントなどをお聞きできればと思い、コメントを書かせていただきました。
他の採用者の研究分野、申請書の内容などもご存知であれば教えていただくとありがたく思います。
いきなりで申し訳ありませんがよろしくお願い致します。

9:14 AM  
Blogger yoko said...

シュンさん、こんにちは

私は去年この財団に奨学金申請をしましたが、採用されたわけではありません。わたしも書式などは全く分からない状態で書きました。

私が参考にしたのは、申請の時点で在学していたアメリカの修士課程で学んだ助成金の申請の書式です。専門内容をできるだけ一般の人に分かる言葉で書くようにしました。

反省点は、実際アメリカで助成金申請をしてみて、私の申請書はあまりにも具体性に欠け、短いことです。またアメリカに外国人向けの助成金が多くあることをそのときは知らず、日本の奨学金しか検索しなかったことです。アメリカでの助成金の多くは本庄財団と違い授業料もカバーしてくれます。アメリカの外国人学生のネックは、教授にとっても学生にとっても、生活費でなく授業料です。

ちなみにですが、国立大卒だとチャンスがあがるとの「うわさ」を聞きました。確かではありませんが。

つい先日私が在学する大学に、この奨学金申請のことでわざわざ訪問してくださった日本人の方がいたもので、びっくりしています。ご健闘を願っています。

ちなみに私は今学期からGSR(Graduate Student Researcher)というポジションを頂き、授業料免除、給料をいただいています。アメリカでお金をもらうには様々な方法がありますので、いろんなところをトライされることをお勧めします。

9:45 AM  
Blogger shun said...

早速のコメント、ありがとうございます。

そうですか。
この内容で不採用だったんですか...
変な質問をしてしまい申し訳ありません。

本庄国際財団はおそらく一般の人が審査すると予想されるので
Yokoさんのような非常に簡潔で分かりやすい内容が良いのかなと思っていました。
本庄国際財団は採用者の情報が全くないので申請書をどれだけ書けばいいのか分かりませんよね。
わざわざ訪問した日本人の方の気持ちも分からなくもないです。
Yokoさんの言われる通りもっと具体性のある申請書作成を心がけてみます。

ちなみに私は日本の大学院の博士課程にいるものです。
アメリカは大学院生向けの奨学金がたくさんあってうらやましい環境ですよね。
授業料までカバーしているの素晴らしいです。
日本でも博士の学生をもっと保護して欲しいものです。

11:03 PM  

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