Wednesday, January 14, 2009

勝間和代のクロストークへのコメント(2009年1月)

<1>の提案には大賛成です。テーマが「非正規労働者の待遇改善」なので、話の中心が非正規労働者と思われやすいのでしょうが、これは日本が抱える雇用の仕組みの問題点を的確に捉えています。それは職場間において労働者の流動性、柔軟性の無さです。

まず間違えてはならないことは、正規雇用者の解雇用件を緩和することは、雇う側にとってさらに正規雇用者を雇いやすくなるということです。なぜなら、生産性の低い正規雇用者を解雇できるということは、労働高率の良い新しい正規雇用者を集め、雇用しやすいということになります。つまり、解雇条件を緩和することは、生産性の高い非正規雇用者を増やすためだけではなく、まずは生産性の高い正規雇用者をさらに増やすために理にかなった対策となります。また、この対策で雇用者自身も仕事を辞め、再就職しやすくなり、流動的に動けるようにすれば、多くの人が自分にあった仕事を見つけることができます。自分に合った仕事を見つけるということは、雇用者本人にとってプラスになるだけでなく、雇用主にとっても効率よく雇用者の力量を発揮させ、利益を上げることができます。また、不当解雇防止対策は、第一の提案が導入されれば必然と改善されるはずです。なぜなら、正規・非正規雇用に関わらず、雇用者の労働効率を客観的に評価するシステムがなければ、労働効率に基づいて解雇ができないからです。そうなれば、必然的に不当に解雇をすることもできなくなります。一方、再就職支援の義務化は、雇い側にとって時間的・金銭的負担となるので、解雇や退職の妨げとなりうるので、非効率的だと思います。

<2>の提案は、上記のような労働者が様々な職場を行き来できるような対策がなされない限り、難しいでしょう。上記の対策がしっかり理解をえなければ、長時間労働を強いられる労働者が他の短時間で生産性の高い職業に就くという発想が生まれず、また、長時間労働に甘んずる労働者がいる会社の中でも改善がなされません。公務員などで多いサービス残業は、公務員を容易に解雇できない非効率性を如実に示しています。まさに正規労働者が解雇しにくいことが、企業の非効率性と連鎖していることが分ります。ガソリンの値上げでガソリンの消費が減るように、正規労働者の単価が上がれば、その消費(雇用)も減ることは疑問の余地はありません。

<3>も上記の対策がしっかり理解をえなければ、企業側の負担としか理解されないでしょう。低賃金の職は相対的に生産性が低い、つまり、特殊技術を必要としないもので、それが最低賃金の職業の最大の利点でもあります。学歴がなくても、経験がなくても誰でも職が手に入るのです。最低賃金が問題なのではなくて、技術があるのにそれを活用する職に転職することが難しいことが問題なのです。つまりは、繰り返しになりますが、労働者にとって職業間を流動的に動けるようにならなければ、低賃金の職業の利点が失われ、企業自体が低賃金雇用をしなくなり、ますます生産性が悪化するでしょう。 

追加として、多くの“日本らしさが失われる” という意見をみまして、それに対しても少し述べたいと思います。
日本はいつだって、欧米化を目指してきたのではなく、様々な分野において「効率」を上げることに注目し、それを見事に諸外国から取り入れてきました。そこを見落として、欧米化に対して反対するがゆえに、欧米から輸入された、効率のよい対策に対しても反対することは、日本が学ぶべき大切なものを見落とすことになります。日本らしさというものはそんなに簡単に失われるものでしょうか?欧米のようにというと、日本に多くの人は、日本の気質が失われると思い、変化に保守的ですが、効率のよい方法の探究という見方で、柔軟にいけば、日本らしい労働効率のよい方法を見つけられるはずです。

戦後と違い、肉体労働が生産性の多くを占める時代ではなくなりました。高度な技術を使い効率よく仕事ができ、それを確実に評価できる構造が必要です。

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